2009年11月21日
非上場企業のDESについて
DESによる株式取得について
最近、非上場企業のオーナーから、DESによる債権放棄について質問を受ける機会がありましたので、少しDES実行上の問題について触れておきたいと思います。実際の準備、金融機関との交渉、プロセスなどについては、経験のある弁護士などに相談されることをお勧めします。
非上場企業が債務超過に陥り、金融機関にDESにより債権放棄をリクエストしようとする場合、上場企業の場合と比較して容易ではありません。上場企業の場合、無議決権株式や優先株式にして貸付利率類似の優先配当率を設定するなどして、DESを引き受けてもらうことが多いですが、非上場会社の場合には、普通株式に交換すると言っても容易に売却できない為、金融機関もそう簡単にDESに応じてはくれません。
そのような場合の解決策として、一定期間経過後に株主が償還請求できる株主の取得請求権を取り付けたりすることで、金融機関がDESに応じ安いようにすることが必要になってきます。例えば、事業再生計画をたて、それが終了した時点で一定の分配額を超過する範囲において償還請求権が行使できるようにするなどの工夫が組み入れられることがあります。
いずれにしても、金融機関としてもDESにはリスクが伴うため、どこまでDES実施の条件が、銀行にとって満足できるものにするかが焦点になってきます。私的整理ガイドラインなどを見ると、DESには、メインバンクのみで行う場合、メインバンクと準メインバンクのみDESを行う場合、そして一般行を含めてDESを行う場合の3つのケースがありますが、過去のいろいろなケースをみる限りでは、普通メインバンクのみで実行する場合が一番多いようです。これは実際の実務処理において、権利変更手続きに関する調整に時間がかかり、多くのエネルギーを必要とするため、メインバンク一行に焦点を合わせていく方がやりやすいことを示しています。
DESを要請する範囲については、様々な選択肢が可能です。例えば、1.全額債権放棄、2)一部債権放棄(%を決めて行う場合)、3)債権額の%を指定して最低限度の債権放棄額とし、あまりの全体、あるいは一部をDESの対象として定めるなどの方法です。
いずれにしても、事業再生計画立案の段階からメインバンクと密接に連携をとりながら、金銭債権の権利変更とともに、その他の債権者の権利変更についてのルールなどをしっかり検討し、どう定めるかなど細かな立案が必要となります。しかし、ここで記憶しておかなければいけないのは、債務者会社が計画中における弁済について、支払い停止や支払い不能、あるいは法的倒産手続きの申し立てとなる場合には、事業再生計画による弁済という前提が失われることになるため、選択肢そのものが消滅してしまいます。債務者側としては弁済を継続していることが重要だということです。
私的整理ガイドライン手続きや事業再生ADRは、民事再生法や会社更生法などと異なり、商取引債権者を手続きに巻き込まず、約定どおりの弁済を行うため、債務企業の事業価値も毀損しにくく、債権者は多くの回収を期待できるというメリットがあります。
最終的に事業再生の基本となるのはまずどういう事業再生計画案をたてることが出来るのかということです。事業再生の中身がよく吟味され、ビジネス価値がしっかりと認識できなければ、債権者にとっては権利の請求も割り当てに関する議論もすべて、その根拠をうしなうため、債務者サイドの準備としては、あくまでもしっかりとした事業再生計画を策定し、それを実行していけるマネジメント力を示していくことが肝要です。
JHK インタナショナル・パートナーズ
BY ジェフリー樫田 Jeffrey Kashida
DES・DDSの実務
著者:藤原 総一郎
販売元:金融財政事情研究会
発売日:2009-02
おすすめ度:
クチコミを見る
DES活用の実務Q&A―債務の株式化 その仕組みと会計・税務
著者:西村 善朗
販売元:清文社
発売日:2004-06
クチコミを見る
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最近、非上場企業のオーナーから、DESによる債権放棄について質問を受ける機会がありましたので、少しDES実行上の問題について触れておきたいと思います。実際の準備、金融機関との交渉、プロセスなどについては、経験のある弁護士などに相談されることをお勧めします。
非上場企業が債務超過に陥り、金融機関にDESにより債権放棄をリクエストしようとする場合、上場企業の場合と比較して容易ではありません。上場企業の場合、無議決権株式や優先株式にして貸付利率類似の優先配当率を設定するなどして、DESを引き受けてもらうことが多いですが、非上場会社の場合には、普通株式に交換すると言っても容易に売却できない為、金融機関もそう簡単にDESに応じてはくれません。
そのような場合の解決策として、一定期間経過後に株主が償還請求できる株主の取得請求権を取り付けたりすることで、金融機関がDESに応じ安いようにすることが必要になってきます。例えば、事業再生計画をたて、それが終了した時点で一定の分配額を超過する範囲において償還請求権が行使できるようにするなどの工夫が組み入れられることがあります。
いずれにしても、金融機関としてもDESにはリスクが伴うため、どこまでDES実施の条件が、銀行にとって満足できるものにするかが焦点になってきます。私的整理ガイドラインなどを見ると、DESには、メインバンクのみで行う場合、メインバンクと準メインバンクのみDESを行う場合、そして一般行を含めてDESを行う場合の3つのケースがありますが、過去のいろいろなケースをみる限りでは、普通メインバンクのみで実行する場合が一番多いようです。これは実際の実務処理において、権利変更手続きに関する調整に時間がかかり、多くのエネルギーを必要とするため、メインバンク一行に焦点を合わせていく方がやりやすいことを示しています。
DESを要請する範囲については、様々な選択肢が可能です。例えば、1.全額債権放棄、2)一部債権放棄(%を決めて行う場合)、3)債権額の%を指定して最低限度の債権放棄額とし、あまりの全体、あるいは一部をDESの対象として定めるなどの方法です。
いずれにしても、事業再生計画立案の段階からメインバンクと密接に連携をとりながら、金銭債権の権利変更とともに、その他の債権者の権利変更についてのルールなどをしっかり検討し、どう定めるかなど細かな立案が必要となります。しかし、ここで記憶しておかなければいけないのは、債務者会社が計画中における弁済について、支払い停止や支払い不能、あるいは法的倒産手続きの申し立てとなる場合には、事業再生計画による弁済という前提が失われることになるため、選択肢そのものが消滅してしまいます。債務者側としては弁済を継続していることが重要だということです。
私的整理ガイドライン手続きや事業再生ADRは、民事再生法や会社更生法などと異なり、商取引債権者を手続きに巻き込まず、約定どおりの弁済を行うため、債務企業の事業価値も毀損しにくく、債権者は多くの回収を期待できるというメリットがあります。
最終的に事業再生の基本となるのはまずどういう事業再生計画案をたてることが出来るのかということです。事業再生の中身がよく吟味され、ビジネス価値がしっかりと認識できなければ、債権者にとっては権利の請求も割り当てに関する議論もすべて、その根拠をうしなうため、債務者サイドの準備としては、あくまでもしっかりとした事業再生計画を策定し、それを実行していけるマネジメント力を示していくことが肝要です。
JHK インタナショナル・パートナーズ
BY ジェフリー樫田 Jeffrey Kashida
DES・DDSの実務著者:藤原 総一郎
販売元:金融財政事情研究会
発売日:2009-02
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DES活用の実務Q&A―債務の株式化 その仕組みと会計・税務著者:西村 善朗
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2009年11月20日
ダウンローディングとアップローディング:発想の転換
ホテル集客戦略の転換期
by ジェフリー樫田(Jeffrey Kashida)/ジョン林(John Hayashi)
今日、日本経済の現状について「デフレ状況という認識である」との報道が一斉に流された。商品やサービスの価格が下がり続ける「デフレ」の状態にあるとの政府による正式の認識と表明だ。11月の月例経済報告の中で、政府としての物価や景気に対する認識が公式に示されたものだが、「デフレ」表現は2006年8月以来3年3か月ぶり。政府がデフレと認定するのは3年5か月ぶりとなるようだ。デフレ克服に向け、日銀に一段の金融緩和策も含めた連携が求めらていくだろう。実際の景気回復を実感しにくい状況が続いていることを考えれば、デフレ対策が今後の焦点になっていくはずだ。
日本経済は1990年代後半から深刻なデフレに陥り、政府は01年3月に初めて「日本経済は緩やかなデフレにある」と認定した。その後の景気回復局面でも、デフレ状態に戻る懸念が一掃できず、「デフレ脱却宣言」を見送ってきたという経緯がある。
実体経済のこういった厳しい環境の中で、ホテル業界においても集客戦略のあり方について、様々な考え方が現れてきつつある。
その一つの重要な視点は、言うまでもなくインターネットを経由した多種多様の事業モデルの現出と、インターネット世代市場の新たなコミュニケーションのあり方である。例えば、インターネットに対する意識の違い、利用度の違い、生活の中での感覚の違い。。等等、世代間でのギャップは大変興味あるものだ。たとえば、その際たるものは、シニア世代に近づけば近づく程、インターネットの便利さを「ダウンローディング」による情報収集力にあることを認める。一方、若い世代になればなるほど、インターネット機能の「アプローディング」機能に価値を認める傾向が顕著になっている。つまり、「ダウンローディング」世代と「アップローディング世代」というまったく逆方向の価値観が混在し、マーケティングの手法もこれに応じて柔軟な対応が必要とされる時代に入りつつある。
例えば、それぞれの世代に見られる特徴をみてみると、興味深い事実に気がつく。つまり、前者はブランド意識世代であるが、後者はブランド無視世代という相違点だ。また前者が固定観念的であるに対し後者は、流動観念的世代だ。例えば、ホテルの選択をするにあたって、前者はホテルのブランド名を重要視し、ホテルが提供できるサービスや価格帯を予想し一定のサービスレベルを期待するが、後者はホテル名よりも、むしろホテルが自分自身のニーズと目的にあったサービスを提供できるかどうかを重要視して考える。融通性と実用性が第一義であって、ブランド力は問題ではない。。といった具合である。
それはホテル集客戦略においても、情報収集法や情報発信のあり方において、発想の転換が必要とされる時代に入っていることを物語っている。つまり、ホテルのブランド戦略に応じてホームページを充実させ、エンドユーザーの訪問を待つというやり方から、ブランド戦略を構成する情報をより積極的にアップロードし、検索エンジンを通して潜在顧客に伝えていくという大変アグレッシブなマーケティングの手法である。要するに「ホテルの特徴を積極的にみずから主張し、宣言」することで、目的とする相手の注意をひこうとしなければ相手にしてもらえないという時代に入りつつあるということではなかろうか。FACE BOOKやTwitterなどがますますビジネス的にも重要度をましていることは、インターネット世代の質的な変化をしてしているといえる。
こういう観点からホテル集客のあり方や情報発信のあり方を再検討していけば、新たなMarketingの手法としていろいろ気付くことも多いはずである。
JHK インタナショナル・パートナーズ
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by ジェフリー樫田(Jeffrey Kashida)/ジョン林(John Hayashi)
今日、日本経済の現状について「デフレ状況という認識である」との報道が一斉に流された。商品やサービスの価格が下がり続ける「デフレ」の状態にあるとの政府による正式の認識と表明だ。11月の月例経済報告の中で、政府としての物価や景気に対する認識が公式に示されたものだが、「デフレ」表現は2006年8月以来3年3か月ぶり。政府がデフレと認定するのは3年5か月ぶりとなるようだ。デフレ克服に向け、日銀に一段の金融緩和策も含めた連携が求めらていくだろう。実際の景気回復を実感しにくい状況が続いていることを考えれば、デフレ対策が今後の焦点になっていくはずだ。
日本経済は1990年代後半から深刻なデフレに陥り、政府は01年3月に初めて「日本経済は緩やかなデフレにある」と認定した。その後の景気回復局面でも、デフレ状態に戻る懸念が一掃できず、「デフレ脱却宣言」を見送ってきたという経緯がある。
実体経済のこういった厳しい環境の中で、ホテル業界においても集客戦略のあり方について、様々な考え方が現れてきつつある。
その一つの重要な視点は、言うまでもなくインターネットを経由した多種多様の事業モデルの現出と、インターネット世代市場の新たなコミュニケーションのあり方である。例えば、インターネットに対する意識の違い、利用度の違い、生活の中での感覚の違い。。等等、世代間でのギャップは大変興味あるものだ。たとえば、その際たるものは、シニア世代に近づけば近づく程、インターネットの便利さを「ダウンローディング」による情報収集力にあることを認める。一方、若い世代になればなるほど、インターネット機能の「アプローディング」機能に価値を認める傾向が顕著になっている。つまり、「ダウンローディング」世代と「アップローディング世代」というまったく逆方向の価値観が混在し、マーケティングの手法もこれに応じて柔軟な対応が必要とされる時代に入りつつある。
例えば、それぞれの世代に見られる特徴をみてみると、興味深い事実に気がつく。つまり、前者はブランド意識世代であるが、後者はブランド無視世代という相違点だ。また前者が固定観念的であるに対し後者は、流動観念的世代だ。例えば、ホテルの選択をするにあたって、前者はホテルのブランド名を重要視し、ホテルが提供できるサービスや価格帯を予想し一定のサービスレベルを期待するが、後者はホテル名よりも、むしろホテルが自分自身のニーズと目的にあったサービスを提供できるかどうかを重要視して考える。融通性と実用性が第一義であって、ブランド力は問題ではない。。といった具合である。
それはホテル集客戦略においても、情報収集法や情報発信のあり方において、発想の転換が必要とされる時代に入っていることを物語っている。つまり、ホテルのブランド戦略に応じてホームページを充実させ、エンドユーザーの訪問を待つというやり方から、ブランド戦略を構成する情報をより積極的にアップロードし、検索エンジンを通して潜在顧客に伝えていくという大変アグレッシブなマーケティングの手法である。要するに「ホテルの特徴を積極的にみずから主張し、宣言」することで、目的とする相手の注意をひこうとしなければ相手にしてもらえないという時代に入りつつあるということではなかろうか。FACE BOOKやTwitterなどがますますビジネス的にも重要度をましていることは、インターネット世代の質的な変化をしてしているといえる。
こういう観点からホテル集客のあり方や情報発信のあり方を再検討していけば、新たなMarketingの手法としていろいろ気付くことも多いはずである。
JHK インタナショナル・パートナーズ
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2009年11月16日
事業再生と協力のリーダーシップ その4.
私的再建計画の鍵
by ジェフリー樫田(Jeffrey Kashida)/ジョン林(John Hayashi)
事業再生ADRにおいて、協力のリーダーシップが重要であることは金融機関との関係においてより明確になってきます。最初にボタンの掛け違いのないよう、メインバンクには細かな再建の打ち合わせをすることが大切です。地方の中小企業の場合、直近に融資をしてくれた金融機関に話すことでなんとか再建の協力を得ようとする場合が多くあります。その場合、メインバンクは状況次第で協力態勢を硬化させ再建のステップがうまく進行しなくなる場合も多いようです。
どこまでも私的再建手続きはメインバンク、準メインバンクなどの協力をしっかり取り付けておかない限り成立しないことを肝に銘じておかなければならない。これらの金融機関とは事業再生ADR手続きを利用することや再生計画案のアウトラインなどは理解してもらった上で、手続きの開始をするというのが賢明なあり方です。
公正な金融支援内容を徹底
リスケ、DES、DDS,再建放棄などはすべて「権利の変更」手続きを示す金融支援の形態です。この手続きの第一条件は公正さであることは言うまでもありません。当然のことながらこれは法的手段に限らず、倒産手続きに共通する原則です。
債務者が複数の金融機関から借金をしている場合、その返済方法は借入金額に応じて比例的に返済額を決める所謂プロラタ方式が一般的です。「公正さ」は殆どこのプロラタの原則を意味しているとも言えます。したがって、債権カット率において債権額の大小や金融機関の業態の相違など区別せず、一律カット率を主張してきます。取引債権の場合は、民事再生法による中小企業救済や小額債権ということもあり得ますが、金融債権の取り扱いについては特に注意を払いながら返済方法を公正に扱い、協力を得やすいように留意しておくのが普通です。
実行可能な事業計画案・資金計画案
経営困難となった企業の再建には、実行可能な事業計画とそれを支える資金計画案が不可欠です。その為には事業の選択と集中によるリストラクチャリングでビジネスモデルの再構築が必要となります。事業の合併、分割、譲渡などの組織再編、工場・営業所の統廃合、人員の整理、減資、増資、投資などを含んだ総合的な検討と青写真を作成することが必要となるため、それらを総合的にReviewし判断していける人材を中心として再建計画を作成していかねばなりません。その為には経営者にとって承諾しがたい内容であっても、客観的に経営分析と事業の方向性を思索し、判断していける人材を登用しなければ沈みかけた船を航海していくことはますます困難となって行きます。
資金計画についても投資、減価償却費、税金などを正確に算定し、キャッシュフロー表を作成する必要があります。
単に、売上高を毎年%アップと仮定し、原価をだしたような事業計画や資金計画は検討に値しないと判断され、二次破綻リスクを懸念する金融機関の同意を求めるのは困難となることを知っておくべきでしょう。
会社規模のそれほど大きくない中小企業の場合であっても、しっかりした事業プランを作り上げていかなければならないことは言うまでもありません。
株主責任と経営者責任
債権放棄や大胆な金融支援を伴う事業再生計画案には、省令として減資と役員の退任を求めるのが普通です。100%減資とするか、経営責任のある者の株式のみを減資するのかを決定する必要が出てきます。この場合、減資対象の株主が自発的に株式を無償で会社に提供しなければならないため、すぐに株主の同意を得られずプロセスが停滞する場合があります。オーナー企業や同族企業の場合、株主といってもその家族や親戚によって構成されている場合が多く、株主総会で決定するといってもなかなか意思決定できないという為、それまでにどれだけ金融機関や第三者による融資が行われてきたかの圧力次第で決まってしまいます。
いずれにしても、経営責任については経営トップなどの退任が原則であることは言うまでもありません。その後の処遇は事業継続への影響がどのくらいあるかで決定していきますが、経営困難に至った経緯とも関連するため、経営トップが能力的に無理だと判断される場合にはまったく新たな経営陣で事業再生を推進していくことになります。
債権放棄ではない、リスケという場合であっても、ある程度のけじめと新しい経営陣の注入は不可欠と理解するほうが合理的でしょう。
JAL再建のあり方についても、経営陣のけじめや、今後の資金支援先からのマネジメントへの介入は不可避と考えるのが普通です。誰しもが既得権益を守ろうとするのは世の常ですが、それらをそのまま受け入れてきたこと事態が経営危機を招いた要因であることを考えれば容易に理解できることです。
(参考文献:事業再生ADRの実践〜事業再生実務家協会編)
JHK インタナショナル・パートナーズ
by ジェフリー樫田(Jeffrey Kashida)/ジョン林(John Hayashi)
事業再生ADRにおいて、協力のリーダーシップが重要であることは金融機関との関係においてより明確になってきます。最初にボタンの掛け違いのないよう、メインバンクには細かな再建の打ち合わせをすることが大切です。地方の中小企業の場合、直近に融資をしてくれた金融機関に話すことでなんとか再建の協力を得ようとする場合が多くあります。その場合、メインバンクは状況次第で協力態勢を硬化させ再建のステップがうまく進行しなくなる場合も多いようです。
どこまでも私的再建手続きはメインバンク、準メインバンクなどの協力をしっかり取り付けておかない限り成立しないことを肝に銘じておかなければならない。これらの金融機関とは事業再生ADR手続きを利用することや再生計画案のアウトラインなどは理解してもらった上で、手続きの開始をするというのが賢明なあり方です。
公正な金融支援内容を徹底
リスケ、DES、DDS,再建放棄などはすべて「権利の変更」手続きを示す金融支援の形態です。この手続きの第一条件は公正さであることは言うまでもありません。当然のことながらこれは法的手段に限らず、倒産手続きに共通する原則です。
債務者が複数の金融機関から借金をしている場合、その返済方法は借入金額に応じて比例的に返済額を決める所謂プロラタ方式が一般的です。「公正さ」は殆どこのプロラタの原則を意味しているとも言えます。したがって、債権カット率において債権額の大小や金融機関の業態の相違など区別せず、一律カット率を主張してきます。取引債権の場合は、民事再生法による中小企業救済や小額債権ということもあり得ますが、金融債権の取り扱いについては特に注意を払いながら返済方法を公正に扱い、協力を得やすいように留意しておくのが普通です。
実行可能な事業計画案・資金計画案
経営困難となった企業の再建には、実行可能な事業計画とそれを支える資金計画案が不可欠です。その為には事業の選択と集中によるリストラクチャリングでビジネスモデルの再構築が必要となります。事業の合併、分割、譲渡などの組織再編、工場・営業所の統廃合、人員の整理、減資、増資、投資などを含んだ総合的な検討と青写真を作成することが必要となるため、それらを総合的にReviewし判断していける人材を中心として再建計画を作成していかねばなりません。その為には経営者にとって承諾しがたい内容であっても、客観的に経営分析と事業の方向性を思索し、判断していける人材を登用しなければ沈みかけた船を航海していくことはますます困難となって行きます。
資金計画についても投資、減価償却費、税金などを正確に算定し、キャッシュフロー表を作成する必要があります。
単に、売上高を毎年%アップと仮定し、原価をだしたような事業計画や資金計画は検討に値しないと判断され、二次破綻リスクを懸念する金融機関の同意を求めるのは困難となることを知っておくべきでしょう。
会社規模のそれほど大きくない中小企業の場合であっても、しっかりした事業プランを作り上げていかなければならないことは言うまでもありません。
株主責任と経営者責任
債権放棄や大胆な金融支援を伴う事業再生計画案には、省令として減資と役員の退任を求めるのが普通です。100%減資とするか、経営責任のある者の株式のみを減資するのかを決定する必要が出てきます。この場合、減資対象の株主が自発的に株式を無償で会社に提供しなければならないため、すぐに株主の同意を得られずプロセスが停滞する場合があります。オーナー企業や同族企業の場合、株主といってもその家族や親戚によって構成されている場合が多く、株主総会で決定するといってもなかなか意思決定できないという為、それまでにどれだけ金融機関や第三者による融資が行われてきたかの圧力次第で決まってしまいます。
いずれにしても、経営責任については経営トップなどの退任が原則であることは言うまでもありません。その後の処遇は事業継続への影響がどのくらいあるかで決定していきますが、経営困難に至った経緯とも関連するため、経営トップが能力的に無理だと判断される場合にはまったく新たな経営陣で事業再生を推進していくことになります。
債権放棄ではない、リスケという場合であっても、ある程度のけじめと新しい経営陣の注入は不可欠と理解するほうが合理的でしょう。
JAL再建のあり方についても、経営陣のけじめや、今後の資金支援先からのマネジメントへの介入は不可避と考えるのが普通です。誰しもが既得権益を守ろうとするのは世の常ですが、それらをそのまま受け入れてきたこと事態が経営危機を招いた要因であることを考えれば容易に理解できることです。
(参考文献:事業再生ADRの実践〜事業再生実務家協会編)
JHK インタナショナル・パートナーズ
2009年11月15日
事業再生と協力のリーダーシップ その3.
事業再生ADRの実践
(写真:ホワイトハウスのディナーテーブル)
By ジェフリー樫田(Jeffrey Kashida)/ジョン林(John Hayashi)
事業再生が単なる「事業の再生」ではなくすでに「私的再建を中心とした再生」を目指す場合、その協力のリーダーシップのあり方においては、弁護士、公認会計士、FAなどの専門家の支援と理解の元に再建計画を立案し、法的コンプライアンスを確認しながらの十分な準備が必要となります。これらの専門家も法的な再建手続きに関与した経験者が望ましいのは言うまでもありません。
事業再生ADRというのは何かと思われる方も多いと思いますが、これは「裁判外紛争解決」を意味する私的整理手法の一つです。最近では日本航空が再建計画をまとめるにあたり、事業再生ADRを申請したのが好例です。JALの場合2009年4〜9月期連結決算で過去最大の1312億円の最終赤字に陥いり、自己資本比率は1年前に比べ半分以下に低下。当面の危機回避策として事業再生ADRを申請、西松社長が再建計画がまとまった段階での引責辞任を示唆しています。
JALの場合は組織も巨大で、社会的な意義も大きいため政府が関与した形となっていますが、企業規模の大小を問わず、事業再生ADRの実践における協力のリーダーシップのあり方は企業再建を左右する大きな要素であることに間違いありません。
我々が関わった大型ホテル再建事案の際(2000年〜2005年)には、元整理回収機構の奥野善彦代表や、最後までいろいろと指導・激励をしていただいた奥野総合弁護士事務所の大西弁護士(JAL再生委員会の一員としても活躍。現フロンティアマネジメント代表)、井上弁護士(現シェル石油法務部長)、藤田弁護士などから多くを学ぶことが出来ました。よく考えてみれば、これは事業再生ADR手続きの先駆けであり、その進め方についても貴重な知識と実践上の留意点を自覚する絶好の機会でもありました。
実際の事業再生ADRの実践においては、事業再生実務家協会が中心となってそのインフラ整備が進められており、日本における実践基盤が現在着々と進められています。(事業再生実務家協会代表理事:松嶋英機弁護士)
専門家への依頼が不可欠
その申請時に提出する「再生計画案」をしっかりと準備することが最低限必要となりますが、金融機関との事前交渉においてしっかりとした協力体制と理解を取り付けておくことが大変重要となることは言うまでもありません。
「再生計画案」の策定について、その必須項目を整理すると次の各項目が挙げられます:
1)会社の概要
2)窮境に至った経緯
3)事業計画
4)資金計画
5)金融支援の内容
6)清算配当率
7)株主責任
8)経営者責任
等。
そしてこれらの項目は、経済産業省令(平成19年省令53号)および告示(平成20年告示257号)を遵守することが必要となることを自覚しながら進める必要性があります。その理由は「再生計画案」がしっかりとした経済合理性を有していることが求められており、且つ、利害関係者にとって平等であることが原則であるためです。
省令は、債務超過の解消期限、経常利益の計上時期、資産評定の基準、弁済額の破産配当率との比較など、詳細な規定があり、専門家なしでは正しい再生計画案の策定は困難であるため、中途半端な対応で臨めば結局時間と費用がかさむだけで、実際の手続きがなかなか進まず再生どころではなくなってしまいます。
特に金融機関の説得は、もともと経営破綻状況に追い込んだ経営者がいろいろ説明をしても納得する訳はありませんし、代理人を立てて辛うじて話し合いに応じるというのが現実です。
さらに、オーナー企業の場合は経営者責任の感覚がずれている場合も多く、保身を同時に考えているようなオーナーの場合は、公平性や透明性についての認識も欠如している場合も多くみられるため、協力のリーダーシップを持ち専門知識を持った経験者が再生計画の推進者として動く必要があります。
財務デューデリジェンスの必要性
財務DDは金融支援の債権カットのみならず、リスケをリクエストする際に絶対不可欠となります。
デューデリジェンスについては、会社の規模によりその実施範囲もかなり異なり、費用においても時間的にもかなり差異があります。金融機関としては財務の実態が明確でない限り、事業計画の妥当性も実行可能性も判断できないため、再生ADRの申請をする用意がある場合には出来るだけ早い時期から国際会計基準を遵守している公認会計士などにしっかりとした報告書を準備しておくことが必要です。そうしておくことで、財務DDの実施もよりスムーズに進めることが出来ます。
ここで留意しておきたいのは、普通財務DDを行えば企業にとって不都合な状況が次第に明確になり、予想以上に財務内容が悪くなるのが通例だということです。
財務DDのしっかり確立していない中小企業などで、国際的にも事業範囲が広がり、米国などで現地法人(本社が100%株主)を持って製品を販売している事業モデルなどでは、国内で販売できず在庫となっている商品を現地法人に理不尽な価格で購入させることで、本社の財務諸表をよく見せて金融機関から融資を受けている場合などがよく見受けられますが、財務DDは連結決算を前提に総合的な審査をうけることから、このようなコスメティック的な経営のあり方は一目瞭然となってしまいます。
財務DDが必要となると思われる場合、経営者はコンプライアンスを自覚して、しっかりした事業計画と金融支援計画を決定しておくことが重要となります。
〜次回に続く
JHKインタナショナル・パートナーズ
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(写真:ホワイトハウスのディナーテーブル)By ジェフリー樫田(Jeffrey Kashida)/ジョン林(John Hayashi)
事業再生が単なる「事業の再生」ではなくすでに「私的再建を中心とした再生」を目指す場合、その協力のリーダーシップのあり方においては、弁護士、公認会計士、FAなどの専門家の支援と理解の元に再建計画を立案し、法的コンプライアンスを確認しながらの十分な準備が必要となります。これらの専門家も法的な再建手続きに関与した経験者が望ましいのは言うまでもありません。
事業再生ADRというのは何かと思われる方も多いと思いますが、これは「裁判外紛争解決」を意味する私的整理手法の一つです。最近では日本航空が再建計画をまとめるにあたり、事業再生ADRを申請したのが好例です。JALの場合2009年4〜9月期連結決算で過去最大の1312億円の最終赤字に陥いり、自己資本比率は1年前に比べ半分以下に低下。当面の危機回避策として事業再生ADRを申請、西松社長が再建計画がまとまった段階での引責辞任を示唆しています。
JALの場合は組織も巨大で、社会的な意義も大きいため政府が関与した形となっていますが、企業規模の大小を問わず、事業再生ADRの実践における協力のリーダーシップのあり方は企業再建を左右する大きな要素であることに間違いありません。
我々が関わった大型ホテル再建事案の際(2000年〜2005年)には、元整理回収機構の奥野善彦代表や、最後までいろいろと指導・激励をしていただいた奥野総合弁護士事務所の大西弁護士(JAL再生委員会の一員としても活躍。現フロンティアマネジメント代表)、井上弁護士(現シェル石油法務部長)、藤田弁護士などから多くを学ぶことが出来ました。よく考えてみれば、これは事業再生ADR手続きの先駆けであり、その進め方についても貴重な知識と実践上の留意点を自覚する絶好の機会でもありました。
実際の事業再生ADRの実践においては、事業再生実務家協会が中心となってそのインフラ整備が進められており、日本における実践基盤が現在着々と進められています。(事業再生実務家協会代表理事:松嶋英機弁護士)
専門家への依頼が不可欠
その申請時に提出する「再生計画案」をしっかりと準備することが最低限必要となりますが、金融機関との事前交渉においてしっかりとした協力体制と理解を取り付けておくことが大変重要となることは言うまでもありません。
「再生計画案」の策定について、その必須項目を整理すると次の各項目が挙げられます:
1)会社の概要
2)窮境に至った経緯
3)事業計画
4)資金計画
5)金融支援の内容
6)清算配当率
7)株主責任
8)経営者責任
等。
そしてこれらの項目は、経済産業省令(平成19年省令53号)および告示(平成20年告示257号)を遵守することが必要となることを自覚しながら進める必要性があります。その理由は「再生計画案」がしっかりとした経済合理性を有していることが求められており、且つ、利害関係者にとって平等であることが原則であるためです。
省令は、債務超過の解消期限、経常利益の計上時期、資産評定の基準、弁済額の破産配当率との比較など、詳細な規定があり、専門家なしでは正しい再生計画案の策定は困難であるため、中途半端な対応で臨めば結局時間と費用がかさむだけで、実際の手続きがなかなか進まず再生どころではなくなってしまいます。
特に金融機関の説得は、もともと経営破綻状況に追い込んだ経営者がいろいろ説明をしても納得する訳はありませんし、代理人を立てて辛うじて話し合いに応じるというのが現実です。
さらに、オーナー企業の場合は経営者責任の感覚がずれている場合も多く、保身を同時に考えているようなオーナーの場合は、公平性や透明性についての認識も欠如している場合も多くみられるため、協力のリーダーシップを持ち専門知識を持った経験者が再生計画の推進者として動く必要があります。
財務デューデリジェンスの必要性
財務DDは金融支援の債権カットのみならず、リスケをリクエストする際に絶対不可欠となります。
デューデリジェンスについては、会社の規模によりその実施範囲もかなり異なり、費用においても時間的にもかなり差異があります。金融機関としては財務の実態が明確でない限り、事業計画の妥当性も実行可能性も判断できないため、再生ADRの申請をする用意がある場合には出来るだけ早い時期から国際会計基準を遵守している公認会計士などにしっかりとした報告書を準備しておくことが必要です。そうしておくことで、財務DDの実施もよりスムーズに進めることが出来ます。
ここで留意しておきたいのは、普通財務DDを行えば企業にとって不都合な状況が次第に明確になり、予想以上に財務内容が悪くなるのが通例だということです。
財務DDのしっかり確立していない中小企業などで、国際的にも事業範囲が広がり、米国などで現地法人(本社が100%株主)を持って製品を販売している事業モデルなどでは、国内で販売できず在庫となっている商品を現地法人に理不尽な価格で購入させることで、本社の財務諸表をよく見せて金融機関から融資を受けている場合などがよく見受けられますが、財務DDは連結決算を前提に総合的な審査をうけることから、このようなコスメティック的な経営のあり方は一目瞭然となってしまいます。
財務DDが必要となると思われる場合、経営者はコンプライアンスを自覚して、しっかりした事業計画と金融支援計画を決定しておくことが重要となります。
〜次回に続く
JHKインタナショナル・パートナーズ
.
2009年11月14日
事業再生と協力のリーダーシップ その2.
オバマ大統領に見る協力のリーダーシップ
By ジェフリー樫田 (Jeffrey Kashida)
オバマ大統領が来日、米国のアジア政策方針演説をサントリーホールで行った。その内容は明確で価値創造的、ポジティブに状況を捉え解決策を見出そうとする善意と協力のリーダーシップに溢れている。
昨年の暮れ、私は日本で活躍するマスコミの人達と食事会を持つ機会を得た。どの人達も国際社会で活躍する怱々たる人達だ。その時、話題の一つが米国大統領選を勝ち抜いたオバマ大統領に対する評価と今後の米国大統領としてのリーダーシップのあり方についてでした。この食事会は先日故人となられた元太陽緑化社長の杉尾栄俊氏(弊社最高顧問)が用意してくださったもので、同氏はこのように様々な分野で活躍する人達に接する機会を我々(ジェフリー樫田 Jeffrey Kashida・ジョン林 John Hayashi)に持たせてくださいました。これらの人々が物事をどのように捉えているかを直接聞き意見交換することで、訓練してくださった貴重な恩師でした。その中には首相経験者から大臣、官僚、大学の総長や有名教授、大手企業の代表取締役、政府行政を預かるトップレベルの人達、IPOを達成した起業家と様々な顔を持つ人達でした。この場をお借りして、今まで私がお会いすることが出来た様々な指導者、経営者の皆様に感謝をお伝えしたいと思います。
この昨年の暮れの食事会は、銀座のあるフレンチ・イタリアン系のレストランの落ち着いた会食室で行われました。それまでに私は、オバマ大統領の「合衆国再生〜大いなる希望を抱いて」(The Audacity of Hope)を読み終わっていて、今後どのような人物が大統領としてリーダーシップをとるのかを大変興味をもっていました。
私自身の結論としては、「彼の生い立ちや青年時代、生まれ育ってきた環境と生き方がかならず今後のリーダーシップの根底として生かされるだろう」という見方を強くもっていました。
米国の自由主義経済と民主主義は誰もが認めるところですが、実際に格差社会が広がり、社会で勝者ではなく敗者側にまわり何世代にもわたってその苦しみを実体験してきた人達からみれば、市場原理主義はまるで悪魔の仕業かと思わされる冷淡で辛い現実との戦いでしかないという印象を持ってしまいます。「自由」という観念は、確かに万人に与えられた素晴らしい条件である代わりに、勝者側からみた「自由」は貪欲で非人間的な価値観の肯定と言い訳を許す大きな仕組みとなっているのです。どんなに自由と資本主義社会の素晴らしさを論じても、基本的な人権否定を肯定化してしまう論理は、差別される側からみれば悪魔がしこんだ悪夢の連続でしかないと私はよく思いました。
この貧困の連鎖と敗者の宿命を断ち切る唯一の武器は、自分自身を奮い立せる勇気と決意、教育でしかないのです。米国に移住してきた多くの移民一世は、この現実と苦しみにすぐに気がつきます。現在では多くの日本人も永住権を申請し、アメリカ生活をエンジョイしようとしている人々が普通のようになっていますが、本当に米国社会に根をおろし、生活し、子供たちの将来、自分たちの生活と老後をかんがえると、少民族系の日系米国人としての立場と社会進出の現実を知らされることになります。移民の苦しみと現実はブラジルに移民した多くの人々の体験などで理解している日本人も多いと思いますが、それらの移民一世の原体験が次第に風化し、最近の若い日本人の人達の国際意識は大変表面的なものになっている気がします。
別の社会で行き、そこで根を張ることがどれほど大変かは国際感覚が鈍いと思われている日本社会ではなかなか理解されにくい現実です。
オバマ大統領一家も、移民者、少数民族系アメリカ人としての負の連鎖をいち早く意識し、挑戦してきた家族の一つです。その中で青年時代をすごし、鋭い感覚で米国社会を観察してきたオバマ青年にとっては、敗者側の人達が納得できる米国社会を何とか作りたいと思っていたのです。先日紹介したラジオトークショーのRush Linboughなどは徹底的なオバマ批判を共和党側の立場から全米にプロパガンダしている人物ですが、オバマ大統領の生い立ちとその中から形成されてきた彼の信念に思いをやると、政治的で表面的な批判はあまりにも浅薄に聞こえてしまいます。
食事会で、日本のマスコミを代表するある方が、オバマ大統領の世界戦略はこうなるだろうと大変確信に満ちたコメントをされていました。そして同席した有識者の方たちからも賛同の言がありました。それは戦略的な米国政府の国益追及主義を背景にした歴史と現在のイラン情勢、世界的な景気後退と市場原理主義の今後の流れを予測するごく普通の分析と意見であろうと思っていました。「それほど世界情勢をドライに分析していいものだろうか」という疑問を私は心に持ちながら意見を聞いていました。話が米国内の政治情勢に移ると
私は、有識人の人達があまりにも米国社会の複雑な人間模様を深く理解していないという印象を持ちました。今世界が期待するリーダー像は、確かに力のあるリーダーシップであるに違いないにせよ、もっと庶民感覚と価値観を根底に持ち、絶妙なバランス感覚で勝者勢力の人達とも協力体制を築いていけるリーダーではないのかと思っていました。そこで、私は「オバマ氏はそれほど簡単に自分の使命を戦略化し政治化してしまうような指導者ではないと思います」と発言すると、すぐに「何故そう思うのか」との質問が返ってきました。
「それは彼の生い立ちをよく理解し、彼が経験してきた様々な状況を考えると、そう思います。人間は自分の生まれや育ち方、環境でその人格や信念が醸成されていくものです。そこから生まれてきた政治哲学や信念は簡単に性格化したり、分析したりできない強いものとして一人ひとりの動機づけをするものです。彼は、それを自分の信念とし、使命としている指導者で、命を欠けて臨んでいくと思います」と答えました。
よく考えてみるとオバマ大統領のリーダーシップは「協力のリーダーシップ」の典型ではないかと思うようになりました。皮肉な見方をすれば「八方美人」と談じる人もいますが、彼には決断と実行力があり、みかけだけではないと私は確信しています。
2ヶ月前、彼は米国議会で「国民皆保険制度」を目指す演説を行いました。最初から彼の演説を聞いていましたが、その根底にあるものは政治的というよりも彼の信念に基づいた国民への訴えでした。保険制度の議論は国の世論を二分する大きな現象になっていますが、その行方はまだ決定的でないにせよ、信念に基づいた世界の指導者が戦っている姿に私は共感せずにはいられません。
現在の混乱する世界情勢や経済情勢をリードし再生していく鍵は、本当の意味で生き方の信念と哲学を持ち、命をかけて取り組んでいく指導者でしか可能ではありません。
会社組織という小さな範囲の再生であっても、その原点は同じです。一人ひとりの意識と価値観を変革させていく経営者の取り組みにかかってきます。「協力のリーダーシップ」は表面的な調整役ではなく、より根幹的なリーダーシップであると私は思っています。
JHKインタナショナルパートナーズ
写真は弊社が取り組んだあるホテル再生プロジェクトでチームを組んだピーターデルヒューリ弁護士家族とオバマ大統領

合衆国再生―大いなる希望を抱いて
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By ジェフリー樫田 (Jeffrey Kashida)
オバマ大統領が来日、米国のアジア政策方針演説をサントリーホールで行った。その内容は明確で価値創造的、ポジティブに状況を捉え解決策を見出そうとする善意と協力のリーダーシップに溢れている。
昨年の暮れ、私は日本で活躍するマスコミの人達と食事会を持つ機会を得た。どの人達も国際社会で活躍する怱々たる人達だ。その時、話題の一つが米国大統領選を勝ち抜いたオバマ大統領に対する評価と今後の米国大統領としてのリーダーシップのあり方についてでした。この食事会は先日故人となられた元太陽緑化社長の杉尾栄俊氏(弊社最高顧問)が用意してくださったもので、同氏はこのように様々な分野で活躍する人達に接する機会を我々(ジェフリー樫田 Jeffrey Kashida・ジョン林 John Hayashi)に持たせてくださいました。これらの人々が物事をどのように捉えているかを直接聞き意見交換することで、訓練してくださった貴重な恩師でした。その中には首相経験者から大臣、官僚、大学の総長や有名教授、大手企業の代表取締役、政府行政を預かるトップレベルの人達、IPOを達成した起業家と様々な顔を持つ人達でした。この場をお借りして、今まで私がお会いすることが出来た様々な指導者、経営者の皆様に感謝をお伝えしたいと思います。
この昨年の暮れの食事会は、銀座のあるフレンチ・イタリアン系のレストランの落ち着いた会食室で行われました。それまでに私は、オバマ大統領の「合衆国再生〜大いなる希望を抱いて」(The Audacity of Hope)を読み終わっていて、今後どのような人物が大統領としてリーダーシップをとるのかを大変興味をもっていました。
私自身の結論としては、「彼の生い立ちや青年時代、生まれ育ってきた環境と生き方がかならず今後のリーダーシップの根底として生かされるだろう」という見方を強くもっていました。
米国の自由主義経済と民主主義は誰もが認めるところですが、実際に格差社会が広がり、社会で勝者ではなく敗者側にまわり何世代にもわたってその苦しみを実体験してきた人達からみれば、市場原理主義はまるで悪魔の仕業かと思わされる冷淡で辛い現実との戦いでしかないという印象を持ってしまいます。「自由」という観念は、確かに万人に与えられた素晴らしい条件である代わりに、勝者側からみた「自由」は貪欲で非人間的な価値観の肯定と言い訳を許す大きな仕組みとなっているのです。どんなに自由と資本主義社会の素晴らしさを論じても、基本的な人権否定を肯定化してしまう論理は、差別される側からみれば悪魔がしこんだ悪夢の連続でしかないと私はよく思いました。
この貧困の連鎖と敗者の宿命を断ち切る唯一の武器は、自分自身を奮い立せる勇気と決意、教育でしかないのです。米国に移住してきた多くの移民一世は、この現実と苦しみにすぐに気がつきます。現在では多くの日本人も永住権を申請し、アメリカ生活をエンジョイしようとしている人々が普通のようになっていますが、本当に米国社会に根をおろし、生活し、子供たちの将来、自分たちの生活と老後をかんがえると、少民族系の日系米国人としての立場と社会進出の現実を知らされることになります。移民の苦しみと現実はブラジルに移民した多くの人々の体験などで理解している日本人も多いと思いますが、それらの移民一世の原体験が次第に風化し、最近の若い日本人の人達の国際意識は大変表面的なものになっている気がします。
別の社会で行き、そこで根を張ることがどれほど大変かは国際感覚が鈍いと思われている日本社会ではなかなか理解されにくい現実です。
オバマ大統領一家も、移民者、少数民族系アメリカ人としての負の連鎖をいち早く意識し、挑戦してきた家族の一つです。その中で青年時代をすごし、鋭い感覚で米国社会を観察してきたオバマ青年にとっては、敗者側の人達が納得できる米国社会を何とか作りたいと思っていたのです。先日紹介したラジオトークショーのRush Linboughなどは徹底的なオバマ批判を共和党側の立場から全米にプロパガンダしている人物ですが、オバマ大統領の生い立ちとその中から形成されてきた彼の信念に思いをやると、政治的で表面的な批判はあまりにも浅薄に聞こえてしまいます。
食事会で、日本のマスコミを代表するある方が、オバマ大統領の世界戦略はこうなるだろうと大変確信に満ちたコメントをされていました。そして同席した有識者の方たちからも賛同の言がありました。それは戦略的な米国政府の国益追及主義を背景にした歴史と現在のイラン情勢、世界的な景気後退と市場原理主義の今後の流れを予測するごく普通の分析と意見であろうと思っていました。「それほど世界情勢をドライに分析していいものだろうか」という疑問を私は心に持ちながら意見を聞いていました。話が米国内の政治情勢に移ると
私は、有識人の人達があまりにも米国社会の複雑な人間模様を深く理解していないという印象を持ちました。今世界が期待するリーダー像は、確かに力のあるリーダーシップであるに違いないにせよ、もっと庶民感覚と価値観を根底に持ち、絶妙なバランス感覚で勝者勢力の人達とも協力体制を築いていけるリーダーではないのかと思っていました。そこで、私は「オバマ氏はそれほど簡単に自分の使命を戦略化し政治化してしまうような指導者ではないと思います」と発言すると、すぐに「何故そう思うのか」との質問が返ってきました。
「それは彼の生い立ちをよく理解し、彼が経験してきた様々な状況を考えると、そう思います。人間は自分の生まれや育ち方、環境でその人格や信念が醸成されていくものです。そこから生まれてきた政治哲学や信念は簡単に性格化したり、分析したりできない強いものとして一人ひとりの動機づけをするものです。彼は、それを自分の信念とし、使命としている指導者で、命を欠けて臨んでいくと思います」と答えました。
よく考えてみるとオバマ大統領のリーダーシップは「協力のリーダーシップ」の典型ではないかと思うようになりました。皮肉な見方をすれば「八方美人」と談じる人もいますが、彼には決断と実行力があり、みかけだけではないと私は確信しています。
2ヶ月前、彼は米国議会で「国民皆保険制度」を目指す演説を行いました。最初から彼の演説を聞いていましたが、その根底にあるものは政治的というよりも彼の信念に基づいた国民への訴えでした。保険制度の議論は国の世論を二分する大きな現象になっていますが、その行方はまだ決定的でないにせよ、信念に基づいた世界の指導者が戦っている姿に私は共感せずにはいられません。
現在の混乱する世界情勢や経済情勢をリードし再生していく鍵は、本当の意味で生き方の信念と哲学を持ち、命をかけて取り組んでいく指導者でしか可能ではありません。
会社組織という小さな範囲の再生であっても、その原点は同じです。一人ひとりの意識と価値観を変革させていく経営者の取り組みにかかってきます。「協力のリーダーシップ」は表面的な調整役ではなく、より根幹的なリーダーシップであると私は思っています。
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2009年10月27日
事業再生と協力のリーダーシップ その1.
リーダーシップとコラボレーション

by ジェフリー樫田 (Jeffrey Kashida)
専門知識を持ったスタッフで構成されている米国企業では、そのリーダーシップのイメージとしては日本企業の伝統的なリーダーシップのあり方とはまったく異なった、意思決定のありかたを想定する人も多いと思います。確かに企業買収やITシステムの再構築など、プロジェクトの規模が大きくなればなるほど、企業は様々な分野から高度な知識を持つ専門家たちを集め、大きなチームをつくることになります。しかも、彼らのコミュニケーションはEmailやInternetを駆使したバーチャル・チームであることも普通です。最近では米国に本社を持つ多くの企業が、コールセンターやソフトウエアの開発部門をインドや東南アジアに持つなど、構成スタッフが遠くはなれてオペレートしているのもまったく珍しくなくなってきました。
マリオット・インターナショナルの本社IT部門では、顧客対応能力や経験価値を向上させるために、技術的な面でのリニューアルだけではなく、各ホテルの支配人、顧客経験者、ブランドマネジャー、各地域の担当責任者など、それぞれ異なる課題とニーズを持った多くのスタッフのコラボレーションが不可欠になっています。
しかし国際的な運営規模が大きくなればなるほど、また専門知識をもったスタッフが多くなればなるほど、組織運営は容易ではなくなってきます。スタッフの殆どは有名大学で教育を受けたエリートであり、個人的な動機付けも訓練も十分出来ている人達であるにも関わらず、協調精神が欠如していたり、人間関係の構築にはいたって不得意な人達が多いことが指摘されています。目標を共有しようという意識も低く、なかなかお互いに協力しあうという基本的な文化の醸成に不慣れなことが多いのです。一昔前ではチームのスタッフ数が20名を超えるとなかなかチームとしては機能しにくくなるといわれていましたが、今日のプロジェクトチームの規模は100人規模の大チームとなって複雑で複合的な任務に対応するようになっています。
「多様性」「バーチャルな人間関係」「高い教育水準と専門性」「大規模化」などを備えた、これらのチームが如何に生産性を高め、総合力を発揮させることが出来るかについて、ハーバード・ビジネス・レビュー誌がこの答えを求めて「協力のリーダーシップ」と名づけた興味深い論文を発表しています。
これらの特徴による負の影響を克服する要因を8つの取り組みとして突き止め分析しています。要約すると、これらは4つの類似パターンに分かれると指摘しています。つまり、1)シニアマネジャーの役割、2)人事部の役割、3)チーム・リーダーの役割、4)メンバー構成とチームの構造。。です。
事業再生の基本的な、成功要因は単に財務知識や金融技術に通じていることというよりも、この「協力のリーダーシップ」を中心者が組織の中にあって引き出せるかどうかという点が決定要因として不可欠です。その意味でこのハーバード・ビジネス・レビュー誌の示唆は大変重要な研究成果だといえます。
これは視点を変えれば、本来伝統的な日本企業の経営者像にも通じているもので、専門性やリーダーシップのあり方で、先を行っていた米国流経営においても、新しくグローバル規模で発展してきた企業文化への対応の中でしっかりと見直されてきているのは大変興味あることです。
これからシリーズでこの「協力のリーダーシップ」について考え、掲載していきたいと思います。
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by ジェフリー樫田 (Jeffrey Kashida)
専門知識を持ったスタッフで構成されている米国企業では、そのリーダーシップのイメージとしては日本企業の伝統的なリーダーシップのあり方とはまったく異なった、意思決定のありかたを想定する人も多いと思います。確かに企業買収やITシステムの再構築など、プロジェクトの規模が大きくなればなるほど、企業は様々な分野から高度な知識を持つ専門家たちを集め、大きなチームをつくることになります。しかも、彼らのコミュニケーションはEmailやInternetを駆使したバーチャル・チームであることも普通です。最近では米国に本社を持つ多くの企業が、コールセンターやソフトウエアの開発部門をインドや東南アジアに持つなど、構成スタッフが遠くはなれてオペレートしているのもまったく珍しくなくなってきました。
マリオット・インターナショナルの本社IT部門では、顧客対応能力や経験価値を向上させるために、技術的な面でのリニューアルだけではなく、各ホテルの支配人、顧客経験者、ブランドマネジャー、各地域の担当責任者など、それぞれ異なる課題とニーズを持った多くのスタッフのコラボレーションが不可欠になっています。
しかし国際的な運営規模が大きくなればなるほど、また専門知識をもったスタッフが多くなればなるほど、組織運営は容易ではなくなってきます。スタッフの殆どは有名大学で教育を受けたエリートであり、個人的な動機付けも訓練も十分出来ている人達であるにも関わらず、協調精神が欠如していたり、人間関係の構築にはいたって不得意な人達が多いことが指摘されています。目標を共有しようという意識も低く、なかなかお互いに協力しあうという基本的な文化の醸成に不慣れなことが多いのです。一昔前ではチームのスタッフ数が20名を超えるとなかなかチームとしては機能しにくくなるといわれていましたが、今日のプロジェクトチームの規模は100人規模の大チームとなって複雑で複合的な任務に対応するようになっています。
「多様性」「バーチャルな人間関係」「高い教育水準と専門性」「大規模化」などを備えた、これらのチームが如何に生産性を高め、総合力を発揮させることが出来るかについて、ハーバード・ビジネス・レビュー誌がこの答えを求めて「協力のリーダーシップ」と名づけた興味深い論文を発表しています。
これらの特徴による負の影響を克服する要因を8つの取り組みとして突き止め分析しています。要約すると、これらは4つの類似パターンに分かれると指摘しています。つまり、1)シニアマネジャーの役割、2)人事部の役割、3)チーム・リーダーの役割、4)メンバー構成とチームの構造。。です。
事業再生の基本的な、成功要因は単に財務知識や金融技術に通じていることというよりも、この「協力のリーダーシップ」を中心者が組織の中にあって引き出せるかどうかという点が決定要因として不可欠です。その意味でこのハーバード・ビジネス・レビュー誌の示唆は大変重要な研究成果だといえます。
これは視点を変えれば、本来伝統的な日本企業の経営者像にも通じているもので、専門性やリーダーシップのあり方で、先を行っていた米国流経営においても、新しくグローバル規模で発展してきた企業文化への対応の中でしっかりと見直されてきているのは大変興味あることです。
これからシリーズでこの「協力のリーダーシップ」について考え、掲載していきたいと思います。
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オバマ大統領 vs トークショー
オバマ大統領の試練

ジェフリー樫田 (Jeffrey Kashida)
米国で生活していると車を運転する時間が日本にいるときと比較して飛躍的に増える。そんな時いつも車の中で聞くことにしているのは周波数640のラジオ・トークショーです。写真の左側の男性は、米国ではラジオトークショーのホストとして有名なRush Linbough(ラッシュ・リィンボウ)。徹底的なオバマ大統領攻撃と批判を連日のように全米に流している人物です。
「バラク・フセイン・オバマこそナチスの到来であり、国家権力を掌握し、社会主義国家建設への布石を着々と進めているのです!!国民の皆さん今こそ気付かねばいけません。彼こそ、嘘で固めた本質を隠しながら、いかにも国民の生活を豊かにするなどと言いふらし、米国経済を破綻に追いやっているといっても過言ではないのです!!」などとラジオを通して全米に流し続けている人物です。本当に異常ではないかと思うほどのことを平気で語り、それを売り物にしているエンタテイナーとして知られています。
彼のようなラジオトークショーのホストが全米には各地に存在しています。地域ごとに有力なラジオ局を通してこれでもかといわんばかりのオバマ大統領攻撃と批判を繰り返しているのです。
今、アメリカでは今、国民皆保険制度をめぐって国は二分するほどの大きな議論が起こっています。よく考えてみれば米国では保険制度の改革は、ルーズベルト大統領をはじめとする歴代の大統領が命をかけて定めようとしてきたにも関わらず、巨大保険会社などの莫大な資金が動き、ことごとく葬られてきたという歴史があります。つい最近、テッド・ケネディ上院議員が脳腫瘍で亡くなったが、彼もまた国民皆保険制度を自分の政治生命をかけて実現しようとしてきた政治家の一人でした。クリントン大統領はアメリカ経済を立て直したことで高く評価されていますが、国民皆保険制度だけはうまく実現することが出来ませんでした。それほど、米国のロビング活動は強力に動きます。3500万人近くのアメリカ国民が健康保険を持たないという異常な事態になっているのにも関わらず議会は、議論の末、いつのまにかなぜか去勢されて来ました。
このトークショーでの徹底したオバマ大統領の批判、攻撃を聞いていると、いつか全国民が大統領の政策を失敗だったと思い込み、問題の本質から少しずつずれて、最後は大きな世論になって国民皆保険制度はアメリカにとっては良くない。。と思い込むのではないかという危惧させ抱きます。これは言論の自由を利用した暴力ではないかと思うほど、酷い大統領批判をするのです。
上院議長のブルーシ女史(民主党)が「これはケネディ兄弟が暗殺されたときにような狂ったなにか恐ろしいことが思い出されるようで、個人的には恐怖を感じる」とまでコメントさせるほど一種の不安感さえ覚えます。知識なく教育のない国民が振り回されて極端な行動に走るのではないかと私でさえも心配になります。
しかし、最近はこのトークショーを聞いていていると「なんとアメリカは懐が大きいのだろう」感じるようになりました。多くの知識人や多くの国民の中にはRush Linboughの巧みな論法を見抜いている人も多く、聞き流しています。むかしから米国ではFOXニュースやABCニュースは共和党よりの論評をする傾向があり、資金が動けばこれらの局の論調も大きく変わります。
Rush Linbouthがあまりにもすき放題のことをラジオで流している矢先、先日NBCテレビの女性リポーターが彼をTVインタビューに招き、彼の私生活で睡眠薬なしでは睡眠できないことや、200億円以上にもなる資産を持っていること、何度も離婚を繰り返していることなどについてわざと質問をし、彼自身の実生活がどうなっているかを暗に示していました。彼自身は大学を卒業したこともなく、職を転々として、独学で社会のしくみを学び、 たどりついたのが自分の得意技である「おしゃべり」トークショーというのが彼の大変ユニークな半生の軌跡です。
それにしても、今こそ「国民皆保険制度」を実現せんと動くオバマ大統領の姿は、日本の歴代の首相にはみられない責任感と使命感、不屈の決意が溢れています。ファーストレディのミッシェル夫人と共に国民に語り、訴えていく姿を見ているとすがすがしい思いにさせるなにか希望の力を感じます。きっとノーベル平和賞もその期待値の象徴として与えられたものでしょう。
彼の著書「米国再生」を読むと、彼がどういう思いと気持ちで大統領の責務を果たそうとしているのかが、素直な気持ちで理解できます。
米国で帰化し、多民族国家社会の複雑な力関係と利権を目の当たりに経験してくると、オバマ大統領に期待し思いを馳せる人々の多いことを実感します。強欲で人間の尊厳さえ気にならない市場主義は「人間を手段化」してしまうという側面をやはり世界は許してはならぬと私は思います。
オバマ大統領一家 〜ホワイトハウス緑の部屋で〜

ジェフリー樫田 (Jeffrey Kashida)
米国で生活していると車を運転する時間が日本にいるときと比較して飛躍的に増える。そんな時いつも車の中で聞くことにしているのは周波数640のラジオ・トークショーです。写真の左側の男性は、米国ではラジオトークショーのホストとして有名なRush Linbough(ラッシュ・リィンボウ)。徹底的なオバマ大統領攻撃と批判を連日のように全米に流している人物です。
「バラク・フセイン・オバマこそナチスの到来であり、国家権力を掌握し、社会主義国家建設への布石を着々と進めているのです!!国民の皆さん今こそ気付かねばいけません。彼こそ、嘘で固めた本質を隠しながら、いかにも国民の生活を豊かにするなどと言いふらし、米国経済を破綻に追いやっているといっても過言ではないのです!!」などとラジオを通して全米に流し続けている人物です。本当に異常ではないかと思うほどのことを平気で語り、それを売り物にしているエンタテイナーとして知られています。
彼のようなラジオトークショーのホストが全米には各地に存在しています。地域ごとに有力なラジオ局を通してこれでもかといわんばかりのオバマ大統領攻撃と批判を繰り返しているのです。
今、アメリカでは今、国民皆保険制度をめぐって国は二分するほどの大きな議論が起こっています。よく考えてみれば米国では保険制度の改革は、ルーズベルト大統領をはじめとする歴代の大統領が命をかけて定めようとしてきたにも関わらず、巨大保険会社などの莫大な資金が動き、ことごとく葬られてきたという歴史があります。つい最近、テッド・ケネディ上院議員が脳腫瘍で亡くなったが、彼もまた国民皆保険制度を自分の政治生命をかけて実現しようとしてきた政治家の一人でした。クリントン大統領はアメリカ経済を立て直したことで高く評価されていますが、国民皆保険制度だけはうまく実現することが出来ませんでした。それほど、米国のロビング活動は強力に動きます。3500万人近くのアメリカ国民が健康保険を持たないという異常な事態になっているのにも関わらず議会は、議論の末、いつのまにかなぜか去勢されて来ました。
このトークショーでの徹底したオバマ大統領の批判、攻撃を聞いていると、いつか全国民が大統領の政策を失敗だったと思い込み、問題の本質から少しずつずれて、最後は大きな世論になって国民皆保険制度はアメリカにとっては良くない。。と思い込むのではないかという危惧させ抱きます。これは言論の自由を利用した暴力ではないかと思うほど、酷い大統領批判をするのです。
上院議長のブルーシ女史(民主党)が「これはケネディ兄弟が暗殺されたときにような狂ったなにか恐ろしいことが思い出されるようで、個人的には恐怖を感じる」とまでコメントさせるほど一種の不安感さえ覚えます。知識なく教育のない国民が振り回されて極端な行動に走るのではないかと私でさえも心配になります。
しかし、最近はこのトークショーを聞いていていると「なんとアメリカは懐が大きいのだろう」感じるようになりました。多くの知識人や多くの国民の中にはRush Linboughの巧みな論法を見抜いている人も多く、聞き流しています。むかしから米国ではFOXニュースやABCニュースは共和党よりの論評をする傾向があり、資金が動けばこれらの局の論調も大きく変わります。
Rush Linbouthがあまりにもすき放題のことをラジオで流している矢先、先日NBCテレビの女性リポーターが彼をTVインタビューに招き、彼の私生活で睡眠薬なしでは睡眠できないことや、200億円以上にもなる資産を持っていること、何度も離婚を繰り返していることなどについてわざと質問をし、彼自身の実生活がどうなっているかを暗に示していました。彼自身は大学を卒業したこともなく、職を転々として、独学で社会のしくみを学び、 たどりついたのが自分の得意技である「おしゃべり」トークショーというのが彼の大変ユニークな半生の軌跡です。
それにしても、今こそ「国民皆保険制度」を実現せんと動くオバマ大統領の姿は、日本の歴代の首相にはみられない責任感と使命感、不屈の決意が溢れています。ファーストレディのミッシェル夫人と共に国民に語り、訴えていく姿を見ているとすがすがしい思いにさせるなにか希望の力を感じます。きっとノーベル平和賞もその期待値の象徴として与えられたものでしょう。
彼の著書「米国再生」を読むと、彼がどういう思いと気持ちで大統領の責務を果たそうとしているのかが、素直な気持ちで理解できます。
米国で帰化し、多民族国家社会の複雑な力関係と利権を目の当たりに経験してくると、オバマ大統領に期待し思いを馳せる人々の多いことを実感します。強欲で人間の尊厳さえ気にならない市場主義は「人間を手段化」してしまうという側面をやはり世界は許してはならぬと私は思います。
オバマ大統領一家 〜ホワイトハウス緑の部屋で〜2009年10月26日
日本郵政の再生
社外取締役に曽野綾子氏
By ジェフリー樫田 (Jeffrey Kashida) & ジョン林(John Hayashi)
日本郵政の西川氏退任後の新体制構築にあたって、組織全体の人事などの見直しが進んでいます。その中で、社外取締役の一人に作家の曽野綾子氏の就任が伝えられています。同女史の人事に関しては、しっかりとした一般利用者の視点と立場から、積極的な改革への意見が出されるのではないかと期待します。
昨年の一月、同女史の最近の日本社会を評したコメントがインターネット上で紹介されましたが、そのときの同女史のコメントが今日再度掲載されていました。「正論:新しい年へどこまで恵まれれば気が済む」と題されたこの寸評は、個人的に今でもよく記憶しており、「本当にその通りだ」と思ったものですが、そういう視点から社会を観察できる同女史が日本郵政の社外取締役に就任されると知り、大変嬉しく思っています。
「引き算思考」と「足し算思考」という視点から、強く逞しい生きる力と知恵を備えることがいかに大切で重要かに触れておられます。曽野氏の視点は、今日の青少年に欠けている生き方そのものについて分析され、その特徴を端的に表現されていますが、私自身は「事業再生」を行っていく場合には、マネジメントを行っていく人材はしっかりと地についた生き方の原点を理解できることが不可欠だというふうに考えています。つまりそうでなければ、組織改革の中心である「人」そのものへの感謝の気持ちや、尊敬の念が欠落してしまうからです。同女史は「人のためを考えること」の大切さは、謙虚で一生懸命生きようと努力することの中でおのずから醸成されることをコメントされています。
事業再生の基本も見かけの豊かさではなく、組織運営の中で従業員一人ひとりに動機付けしていけるリーダーシップが不可欠ではないかと考えています。
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ドイツポストVS.日本郵政公社―民営化と公社化では大違い!このままでは郵貯・簡保360兆円が危ない!
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By ジェフリー樫田 (Jeffrey Kashida) & ジョン林(John Hayashi)
日本郵政の西川氏退任後の新体制構築にあたって、組織全体の人事などの見直しが進んでいます。その中で、社外取締役の一人に作家の曽野綾子氏の就任が伝えられています。同女史の人事に関しては、しっかりとした一般利用者の視点と立場から、積極的な改革への意見が出されるのではないかと期待します。
昨年の一月、同女史の最近の日本社会を評したコメントがインターネット上で紹介されましたが、そのときの同女史のコメントが今日再度掲載されていました。「正論:新しい年へどこまで恵まれれば気が済む」と題されたこの寸評は、個人的に今でもよく記憶しており、「本当にその通りだ」と思ったものですが、そういう視点から社会を観察できる同女史が日本郵政の社外取締役に就任されると知り、大変嬉しく思っています。
「引き算思考」と「足し算思考」という視点から、強く逞しい生きる力と知恵を備えることがいかに大切で重要かに触れておられます。曽野氏の視点は、今日の青少年に欠けている生き方そのものについて分析され、その特徴を端的に表現されていますが、私自身は「事業再生」を行っていく場合には、マネジメントを行っていく人材はしっかりと地についた生き方の原点を理解できることが不可欠だというふうに考えています。つまりそうでなければ、組織改革の中心である「人」そのものへの感謝の気持ちや、尊敬の念が欠落してしまうからです。同女史は「人のためを考えること」の大切さは、謙虚で一生懸命生きようと努力することの中でおのずから醸成されることをコメントされています。
事業再生の基本も見かけの豊かさではなく、組織運営の中で従業員一人ひとりに動機付けしていけるリーダーシップが不可欠ではないかと考えています。
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ドイツポストVS.日本郵政公社―民営化と公社化では大違い!このままでは郵貯・簡保360兆円が危ない!
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事業再生とODA
新幹線建設の資金源 
日本は1950年〜80年代にかけて飛躍的な経済発展を遂げました。日本が世界に誇る新幹線は日本経済発展の象徴であり、日本が持つ技術力を世界に示したものでしたが、その資金源として忘れてはならないのは世界の先進諸国から得たODA資金が重要な役割をもっていたことです。つまり日本自力ではなく先進諸国の資金援助を得て、新幹線という現在では不可欠のインフラ整備を行いました。
この種のODAのあり方は、よく「戦略援助型ODA」と呼ばれることがあります。今回、鳩山政権下で東南アジアへの円借款が報道されていますが、これもある意味では自国の外交・安全保障戦略の手段として行われるODAという性格を有していると思われます。国内での高い失業率、停滞する景気、国民一人ひとりの消費がパワーダウンしている現状にも関わらず、何故それほど他国に「いい顔」をしなければならないのか。。などと思われる国民の皆さんも多いと思いますが、「戦略援助型ODA」の効果の一つは、その効果が回りまわって自国の経済発展に寄与することにあります。
世界が大戦後の冷戦状態にあった当時はODAはアメリカ主導の資本主義陣営が拡大傾向にあった共産主義勢力に対抗するため、「封じ込め政策」を実施して来ました。その政策の主要なものが、今日でいうODAだったのです。その意味で歴史的にはODAは政治的目的を秘めていたといえます。つまり、戦争で荒廃してしまった国々の復興をアメリカによる巨額の資金援助で強力に支援することで、これらの国々を経済的に自立させ、共産主義勢力が入り込む余地をなくそうとしたのでした。まさにアメリカの国益にかなった、戦略的援助型ODAだったといえます。現在もまた、9.11の世界同時テロを契機に米国は中東や中央アジアの新米国に多額の援助を実施しています。
弊社のジョン林/John Hayashiやジェフリー樫田/Jeffrey Kashidaが欧州復興開発銀行関連の事業再生プロジェクト・アドバイザーとして中央アジアの案件に参加してきたのも、ODA関連資金を原資とした同銀行と自由主義経済圏諸国の意思を反映したものだと言えます。貧困諸国でしかも開発途上国を援助する場合には、特にインフラ開発援助型ODAが必要になってきます。前述の日本の新幹線建設がいかに意義深いものであったかを考えるとその必要性が不可欠であることが理解されます。植民地支配が長く続いた開発途上国には開発のための資本が決定的に不足しおり、それを補うのがODAの重要な役割となっています。
このように、開発途上国の開発を助け、経済発展を支えることを主な目的として行われるODAは、戦略援助型であり且つ「インフラ開発援助型ODA」の性格を有していると言えます。開発のために必要な「投資資本」が不足しているこれらの国々にとっては、「借金」をして自国の経営基盤を整えることが不可欠だからです。日本は、貯蓄率が高く銀行が投資資本を企業にふんだんに貸し出し、高度成長が迎えられたといわれる日本でさえ、新幹線はODAを受け入れて行った社会資本整備であったのです。
ODAに学ぶ事業再生
事業再生においても、基本的なコンセプトはこの「戦略援助型ODA」と「インフラ開発援助型ODA」に類似している側面があります。そこで重要なことは、ODAによって資本注入した後のインフラをしっかりオペレートしていく仕組みを作らなければならないということです。
事業再生のEXIT戦略が企業価値のアップにあると強調し、急速な財務リストラプランを実施するなどして見かけ上の再生ができたかのような事業再生が多く見られますが、破綻に追い込まれた施設や事業の資産を切り貼りして、利益を上げることに終始したような再生は、本来の事業再生とは程遠いものです。どこまでも対象事業のインフラ整備、運営機能をどう回復し、動機づけ、自発的な事業活動を起こしていくかを長期的な観点から、支援し活性化していかなければなりません。そういう観点からその事業の存在意義を再評価し、市場動向とニーズに応えていけるしっかりとしたプラニングが基本にならなければならないのです。
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日本は1950年〜80年代にかけて飛躍的な経済発展を遂げました。日本が世界に誇る新幹線は日本経済発展の象徴であり、日本が持つ技術力を世界に示したものでしたが、その資金源として忘れてはならないのは世界の先進諸国から得たODA資金が重要な役割をもっていたことです。つまり日本自力ではなく先進諸国の資金援助を得て、新幹線という現在では不可欠のインフラ整備を行いました。
この種のODAのあり方は、よく「戦略援助型ODA」と呼ばれることがあります。今回、鳩山政権下で東南アジアへの円借款が報道されていますが、これもある意味では自国の外交・安全保障戦略の手段として行われるODAという性格を有していると思われます。国内での高い失業率、停滞する景気、国民一人ひとりの消費がパワーダウンしている現状にも関わらず、何故それほど他国に「いい顔」をしなければならないのか。。などと思われる国民の皆さんも多いと思いますが、「戦略援助型ODA」の効果の一つは、その効果が回りまわって自国の経済発展に寄与することにあります。
世界が大戦後の冷戦状態にあった当時はODAはアメリカ主導の資本主義陣営が拡大傾向にあった共産主義勢力に対抗するため、「封じ込め政策」を実施して来ました。その政策の主要なものが、今日でいうODAだったのです。その意味で歴史的にはODAは政治的目的を秘めていたといえます。つまり、戦争で荒廃してしまった国々の復興をアメリカによる巨額の資金援助で強力に支援することで、これらの国々を経済的に自立させ、共産主義勢力が入り込む余地をなくそうとしたのでした。まさにアメリカの国益にかなった、戦略的援助型ODAだったといえます。現在もまた、9.11の世界同時テロを契機に米国は中東や中央アジアの新米国に多額の援助を実施しています。
弊社のジョン林/John Hayashiやジェフリー樫田/Jeffrey Kashidaが欧州復興開発銀行関連の事業再生プロジェクト・アドバイザーとして中央アジアの案件に参加してきたのも、ODA関連資金を原資とした同銀行と自由主義経済圏諸国の意思を反映したものだと言えます。貧困諸国でしかも開発途上国を援助する場合には、特にインフラ開発援助型ODAが必要になってきます。前述の日本の新幹線建設がいかに意義深いものであったかを考えるとその必要性が不可欠であることが理解されます。植民地支配が長く続いた開発途上国には開発のための資本が決定的に不足しおり、それを補うのがODAの重要な役割となっています。
このように、開発途上国の開発を助け、経済発展を支えることを主な目的として行われるODAは、戦略援助型であり且つ「インフラ開発援助型ODA」の性格を有していると言えます。開発のために必要な「投資資本」が不足しているこれらの国々にとっては、「借金」をして自国の経営基盤を整えることが不可欠だからです。日本は、貯蓄率が高く銀行が投資資本を企業にふんだんに貸し出し、高度成長が迎えられたといわれる日本でさえ、新幹線はODAを受け入れて行った社会資本整備であったのです。
ODAに学ぶ事業再生
事業再生においても、基本的なコンセプトはこの「戦略援助型ODA」と「インフラ開発援助型ODA」に類似している側面があります。そこで重要なことは、ODAによって資本注入した後のインフラをしっかりオペレートしていく仕組みを作らなければならないということです。
事業再生のEXIT戦略が企業価値のアップにあると強調し、急速な財務リストラプランを実施するなどして見かけ上の再生ができたかのような事業再生が多く見られますが、破綻に追い込まれた施設や事業の資産を切り貼りして、利益を上げることに終始したような再生は、本来の事業再生とは程遠いものです。どこまでも対象事業のインフラ整備、運営機能をどう回復し、動機づけ、自発的な事業活動を起こしていくかを長期的な観点から、支援し活性化していかなければなりません。そういう観点からその事業の存在意義を再評価し、市場動向とニーズに応えていけるしっかりとしたプラニングが基本にならなければならないのです。
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2009年10月24日
日系ホテルの国際化
国際展開上の研究例
日系ホテルの今までの国際化とその特徴については、いろいろと議論されてきた分野ですが、10年程前に近畿大学の四宮由紀子氏がその実態調査を行い、その特徴について発表、興味深い内容となっています。海外でのホテル展開においてはいろいろな要素を考慮しなければ国際ホテルとしての評価も変わってくるため、国際進出のマネジメントに関しては国内のものとは違っていることに注目されます。
参考までに掲載させていただきました。
日本ホテル企業の国際経営に関する実態調査
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The International Hotel Industry: Sustainable Management著者:Timothy L. G. Lockyer
販売元:Haworth Pr Inc
発売日:2007-10
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